おなじみの犬型ロボット
ソニーが1999年より販売しているペット型ロボット「aibo」は、販売当初話題になったこともあってご存知の方も多いのではないでしょうか。販売開始から今まで、aiboは様々な進化を遂げてきました。現在は常時モバイルネットワーク接続が可能となり、クラウド型AIと連携して飼い主や自分を可愛がってくれる相手を記憶できるようになっています。撫でてくれる人を認識し、甘える、寄り添うなどの行動を取ります。また、育つ環境によって個性が変化していくという特徴もあります。
渋谷区はこれまでも積極的に認知症に関する理解の普及や啓発活動などを行ってきました。そして2019年6月に開催した「認知症に関する協定についての記者発表会」の中で、日本認知症予防学会やソニーと協定を締結し、AIを搭載したaiboを活用した「高齢者が活き活き暮らせる街作り」に取り組むことを発表しました。発表の中では最新のアップデートとして、「aiboおまわりさん」という機能が追加されたことも紹介されました。あらかじめ目標地点や人物を設定することで、aiboが見守りをしてくれる機能です。これにより、高齢者は安心感を持って生活を送ることができます。
アニマルセラピーには認知症予防で重要な「記憶」「運動」「会話」の要素を全て含んでおり、ペット型ロボットaiboをかわいがることで同様の効果を得られます。話しかけると振り向いて反応してくれるため、自然と会話が発生します。撫でる、抱っこをするなど、aiboと遊ぶことで運動にもつながります。認知症の行動・心理的症状は人形などへの愛着によって和らぐといわれているため、大きな効果が期待できます。
実際に介護付き有料老人ホームに導入した事例もあります。入居者がaiboとのふれあいを求めて共有スペースに訪れる回数が増え、施設内のコミュニケーションが促進されました。高齢者がふれあいの場に足を運ぶきっかけになり、社会性の維持や孤立の防止につながります。
aibo自体はあくまでペット型ロボットであり医療機器ではないため、認知症を「治療」することはできません。しかし、コミュニケーションを取ることで様々な効果が見込めます。相手の感情を読み取り、理解しようとする際には脳の認知機能が刺激されます。また、見守り機能があることで家族の負担軽減にもつながります。ロボットなのでアレルギーや感染症の心配もありませんし、エサやりやフンの処理も必要ありません。