様々な効果が期待できる
老人ホームやデイサービスなどの介護施設で行われる「レクリエーション」も高齢者のふれあいの場として重要な役割を担います。最近はレクリエーションに力を入れる施設も増えてきました。内容は様々で、単調になりがちな施設内での生活に変化を与えることができます。
まず、「脳や身体機能を活性化させる」効果があります。頭を使うクイズやゲーム、折り紙などの指先を使う作業に取り組むことで脳が活性化し、認知症の予防や進行の抑制に効果を発揮します。また、身体の健康を維持する効果も期待できます。高齢者は身体機能が低下していますが、だからといって放置しているとより一層衰えていってしまいます。身体機能が著しく低下すると「廃用症候群」に陥る可能性も高まります。高齢者の場合、1週間寝たきりの状態が続くと10~15%もの筋力が低下するといわれています。そのため、日頃から身体を動かす機会を作る必要があるのです。
また、「コミュニケーションの促進」も見込めます。高齢者になり体力が衰えることで自然と外出の機会も減ります。一人暮らしの高齢者の場合、引きこもりやうつ病につながる可能性もあります。認知症の発症リスクも高まるため、他者とのコミュニケーションは重要です。介護施設で行われるレクリエーションには他者と交流する楽しさを再度感じてもらう目的があります。コミュニケーションを積極的に図ることで、自ずと脳も活性化します。
さらに、高齢者のADL(日常生活の動作)とQOL(生活の質)を向上させる効果もあります。レクリエーションを通じて他者と交流することで、日々の生活の質が向上していくのです。QOLは「どれだけ人間らしく生きる喜びや楽しみを見出せるか」という概念であり、介護現場において重要な考え方として用いられています。
身体を動かすレクリエーションには「ラジオ体操」「お手玉」「輪投げ」「ボール運び」などがあります。「風船バレー」や「フルーツバスケット」など、大勢で実施するものも人気があります。
頭を使うレクリエーションには「ボードゲーム」「しりとり」「なぞなぞ」「クロスワードパズル」などがあります。上下逆にした文字を見て何が書かれているかを当てる「逆文字ゲーム」など、工夫を凝らしたものもあります。
指先を使うレクリエーションで人気なのは「折り紙」「塗り絵」「手芸」「書道」などです。また、仲間と「お菓子作り」をして一緒にお茶を楽しんだり、家族にプレゼントしたりするようなレクリエーションもあります。
この他だと、音楽を利用したレクリエーションもあります。一緒に歌ったり、簡単な楽器を演奏したりしながら脳機能・身体機能を活性化していきます。